告白したらふられたので「その女の子のことを想って過去に作った短歌から選んだ158首」を紙に印刷して本人に渡したら1首ずつ感想をくれた話【後編】

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本記事は後編です。未読の方は上のリンクから前編を読んでください。既読の方も復習してからどうぞ。

 

 

導入

取 ラブレターです。
(158首が印刷されたA4用紙9枚を手渡す)
K えっ、重い……。
取 (さすがにKさんでも嫌がるか。悪いことしたな)やっぱり迷惑ですよね。返してもら……。
K 9枚って結構手にずっしりくるんだね!
取 質量。

 

 

太字はぼくの短歌、「K」はその女の子の発言、「取」はぼくの発言、発言中の「取想くん」はぼくのことです。

 

 

では後半戦スタート!

 

 

深緑が青色になるほど遠くとおくに見えるうしろ姿だ
取 山は近くで見ると緑色なのに遠くから見ると青色だなと思って作った歌です。
K わたしたちは今何色?
取 青緑ぐらいまで近づけていたらうれしいです。

 

 

交わらぬ平行線は重なれる唯一の線だ傘をひらけよ
K 重なれるだけでべつに重なってるわけじゃないよね。

 


たそがれに道を行き交う人々がすべてあなたに思えてしまう
K 約束した日以外に偶然会ったことないよね。他の人とは偶然会うことあるけど。

 


鴨川の流れる音がまたねって言ったあの子の声に似ている
K 遅れてごめんって声には似てないの?

 


葉は染まるふたりで海を見るためのブルーシートを捨てられぬまま
K もう雪が降ったね。
取 まだ捨ててないです。
K 四季がそろっちゃうね。

 


かわいいと言いすぎというかわいいと言いすぎたならきみのせいだろ
K ごめん。

 


はつ秋に売れ残りたるスイカバー好いてはくれぬ人をぞ思ふ
K わたしがスイカバー?
取 ぼくがスイカバーです。
K わたし、スイカバー好きだよ。

 


前髪を伸ばした方が似合うよと言えばあなたは前髪を切る
K 前髪伸ばしてるよ! どう?
取 すごく良いです。
K じゃあ切ろうかな。

 


ぎんなんを踏んでくさいというきみの髪からかおるすずらんを嗅ぐ
K 加湿器のアロマ、スズランだよ。

 


枯れている葉っぱをさして紅葉と言うからきみはしあわせなひと
K 幸せだよ。

 


のぞき込む白い絵の具に反射するきみの眼鏡を直視している
K この美術展のチケット、ずっと財布に入れてる。

 


違うちがう眼鏡じゃなくてあくまでも眼鏡をかけたきみがかわいい
K ちがう、ちがう。

 


東山魁夷のあおが反射するきみとぼくとの青色の距離
取 このときはまだ青色でした。
K うそ!? 6時間も一緒に美術館にいたのに?
取 えっ、じゃあちょっと緑がかっていたかもしれないです。

 


ソーセージ切り分けるのが下手だから涙みたいな肉汁がある
K ソーセージだけじゃなくてものごと全般切るのが下手だからなあ。
取 ぼくのことも切れてないですもんね。

 


かたくなにぼくの上着を着ないから風をあたためながら歩いた
K 風さんも寒かっただろうし感謝してたんじゃないかな。やっぱり取想くんは優しいね。

 


死んだのち星ではなくて石ころになってください抱きしめてやる
K 蹴らない? もう蹴らない?

 


前髪が伸びたねなんて触るから割引券をつかいそこねた
取 500円引きがパーになりました。
K 前髪おさわりのオプション料は500円なんだね。

 


甘いもの好きなあなたは苦いものぼくにくれるね恋であるとか
K 恋をあげた覚えは特にない。

 


きみはもう覚えてなくていいからさぼくが短歌にしておくからさ
取 どうせぼくとのことなんかすぐに忘れるんだろうなと思いながら作ったのですが、実際はかなり覚えていてくれてますよね。
K ね! 普段は物忘れが激しいのになぜか取想くんとのことはいっぱい覚えてる。自分でもびっくり!

 


紅葉は寒さに耐えてうつくしいあなたは何に耐えているのか
K 空腹。

 


消えそうな星の名前を当てるより難しいのだ「好き」と言うのは
K じゃあ、わたしは星の名前を当てる担当になる。
取 そこから段階を踏んで「好き」にぜひたどり着いてください。
K え〜どうだろ? わたし、公文式でも算数できるようにならなかったからなー。

 


お互いの肩が触れ合う回数を数えていたら恋をしていた
K 背の高さが違うから本当は肩と肩はぶつからないよね。だから実は恋をしてないのかもしれないね。

 


またねって手を振る今日に中指を突き立てきみに好きだと言った
K 鴨川じゃん。
取 これは電話で1回目の告白をしたときです。
K ふったからわたしが取想くんに中指を突き立てたみたいになっちゃったね。

 


どうしてもきみが眼鏡をかけているすがた見たくて映画に誘う
K 眼鏡をかけてる姿じゃなくてスクリーンを見た方が良いよ。

 


二時間も通話していた驚きを伝えるための通話がしたい
K 分かる。

 


十個あるまちがい探す横顔に間違いもなく恋をしている
K 11個目のまちがいだね。

 


唐辛子みたいになった前髪を直してくれたきみの指先
K 今度は収穫する!

 


映画館出ても眼鏡をかけているきみの映画の主役になりてえ
K わたし、脇役を好きになることの方が多いよ。

 


くだらない話ばかりをしたからさ笑顔だけしか思い出せない
K わたしは思い出そうとするだけで笑っちゃう。なんか楽しいことあったな〜って。

 


増えてゆくRe:Re:Re:はいつまでもきみの心に届かない恋
K 増えすぎて通り過ぎた。

 


「きみとならどんな天気も楽しい」と言うから雨が降るんじゃないか
K 雨でも楽しかったじゃないか。

 


つらいからかわいこぶるのやめてくれもうこれ以上かわいくなるな
K 無理。

 


なにもかも寒さのせいにしてやろうきみの両手はポケットの中
K 全部寒さのせいにすると寒さがかわいそうだよ。

 


駅のトイレで嘔吐しているときに電話をしたくなったら恋だ
取 駅のトイレで嘔吐しているときに電話をしたくなる相手に選んでもらえてとてもうれしかったのですが。
K でも恋ではないよ。けど、うーん、このときの記憶がほとんどないから分かんないや。
取 じゃあ心の奥底で恋をしている可能性もありますね。

 


「ぼくのことどれだけ知ってるんですか」「きみはわたしのことが好きです」
K 楽しそうだなこの会話! まったく覚えてないのが残念。
取 このときにもてあそばれているなあと確信しました。
K もてあそんでないよ! 取想くんのことを考えたら真っ先にこれが思い浮かんだから。

 


次に会う約束をして死ねないねって笑顔がぼくを殺した凶器
K 取想くんが死んじゃったら泣いちゃうからその涙で生き返ってほしい。

 


今とてもしあわせなんて言うからさ食べ終わらないオムライス探す
K どの今もずっと幸せだからずっとオムライス食べてるみたい。人生がオムライスになっちゃった!

 


ロシア語が読めないきみのマヤコフスキーとして宙に浮く恋
取 ここから面と向かって告白してふられた日の歌です。
K 今までいろんな言語を読めるようになりたいなーと思ってたけど、ロシア語は読めるようにならなくてもいいかなーと思った。

 


半年の恋を固めてできたのがコーヒーゼリーあなたがくれた
K そのコーヒーゼリー、2分で選んだ。

 


肩を抱き寄せて歩いた 右肩が左の胸に刺さって痛い
K わたしからも距離を縮めちゃうと取想くんがもっと傷つくことになるかもしれないな、それは嫌だな、ってたまに考える。

 


通過する列車だきみは止めるため投げ込んでみる向日葵の束
K ひまわりくれたよね。きれいだった!

 


Je t’aime. と言えば Je t’aime beaucoup. だと言われて冬の街灯の虹*1
K 泣かないで〜。多い方が良いと思ったんだもん。
取 たくさんの友愛よりたったひとつの愛をください。

 


付き合ってほしいんじゃない「わたしも」と笑ってほしいだけだったんだ
K “I love you.” に “Me, too.” って返すと、「わたしもわたしのことが好きです」って意味になっちゃうらしいよ。
取 屁理屈でごまかさないでください。

 


百利あって一害なしだった笑顔が一害を得てしまう木曜
K そもそも百利あるのが一害だよね。

 


頭から羽根を生やしたきみの手のつめたいしろいやわいなきたい
取 羽根というのはふたつくくりにした髪の毛のことです。
K もう髪切ったから泣かなくて済むよ。

 


「あなたとはキスをしない」に隠された特別を抱きしめて眠ろう
K わたしは眠れないと思う。

 


死ぬことがきみと会えないことになる六月ぼくが死ぬ十二月
K まだ生きてる2月。

 


間違いの選択肢切る方法を教えるぼくは恋をきれない
K わたしは取想くんを全然上手く切れてないね。

 


きみの髪の手ざわりがする堂園昌彦の歌集を読めないでいる
K 読み終わったら貸して!

 


然し君、恋は罪悪ですよ。って書かれた2B鉛筆削る
取 ふられた日にきみからクリスマスプレゼントとしてもらった夏目漱石名言鉛筆に「然し君、恋は罪悪ですよ。解っていますか」と書かれているのを見て「解ってるよ! きみが教えてくれたんだろ」と思いながら作った歌です。
K ひと目見て絶対これあげようと思った。

 


「髪の毛を切ったよ」黒いマフラーを外して月に照らされる雲
取 ここからはふられた日よりあとに作った歌ですね。
K 今度は「前髪切ったよ」かな。
取 そのときはなにを外すんですか?
K 取想くん。

 


対角線上の眼鏡をかけていないきみと目があった気がして
K あってない。

 


千五百兆回ぐらい抱き合ってぼくら地球になってしまおう
K わたしは太陽のままでいいよ。

 

 

おわり。

 

 

おまけ

取 前回もらった感想を記事にしたら30万アクセスを超えました。
K わーみんな暇なんだね! わたしの代わりに期末レポート書いてほしい。
取 記事に対してたくさんの感想をもらいましたが、なかにはきみのことを悪く言うようなものもありました。
K もしかして悪女とか? わーうれしい! 悪女にあこがれてたんだよね。普段面と向かって悪口を言われることがないからうれしい! もっと言ってほしい!
取 キャバ嬢に向いているという感想もありました。
K 会ったこともないわたしの将来について考えてくれるなんて優しい。ありがとうございます!

 

 

 

 

 

やっぱ好きです。

 

 

追伸

 明後日からふたりで台湾旅行に行ってきます。

 

 

短歌つくってます

西村取想 (@N_torso) on Twitter

 

 

これはぼくが恋愛について書いた記事たちです。

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*1:"Je t’aime." はフランス語で「きみが恋愛的に好き」という意味で、そこに「たくさん」(英語でいう "much" に近い)という意味の "beaucoup" がつくと「きみは友達としてはとても好きだけれども......」という意味になります。ぼくがジャン=リュック・ナンシーの『恋愛について』について書いた記事を読むとそれがなぜなのか少し分かるかもしれません。