「アーケード」

恋人が、見た夢について話してくれたので文章にしました。

 

 

 

 だだっ広い公園にいる。砂地の周りに芝と木が生えているのが見える。遊具はない。公園ではないのかもしれない。遊具はないが、目の前に石でできた階段がある。一段一段が高く、上がるのに苦労する。どこへ続くかも分からないままのぼっていくと見晴らしのいい場所に出る。端っこに「〇〇商店街」と形作られた看板があり、ここが商店街のアーケードの上だと気がつく。商店街のアーケードの上には多くの人が列をなしている。その列の先頭に目をやると、人がひとりずつアーケードから落ちている。先頭まで行き、下を見ると赤く染まっている。アーケードの下の人たちはそれを避けることもなく、何事も起こっていないかのように往来している。ふと顔を上げると、列の動きが止まっている。なにやら先頭の男が騒いでいる。アーケードの下を見ながら叫んでいる。

「おれはだれにも迷惑をかけずに死にたいんだ! ここから飛び降りたら、もしかすると下を歩いている人にぶつかって殺してしまうかもしれない。おれはそんなことは望まない!」

 彼の後ろに並んでいる人たちは、彼を急かすことも退かすこともせず、ただ立っている。彼は文句を言いながらもそこを退く気配はない。立ち上がって彼のところまで行く。彼の後ろに立つ。彼の背中を押す。そしてわたしが先頭にいる。